ノーリフト介護の意味とは? 取り組みの中心は福祉用具の積極的な活用

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「ノーリフト 介護」の意味とは

今日は介護に関する話題をお届けします。
介護というと,どうしても”重労働”という印象がありますよね?

実際,介護の現場で深刻な問題となっているのが
介護する人の腰痛です。

介護施設で暮らすお年寄りたちは
トイレに行ったり,食事に行ったりするたびに
ベッドから車いすに移動しなければなりません。

こうした動作の繰り返しは
食事や入浴など1日30回以上にも及びます。

その都度,職員による介護が必要となるため
職員の腰に大きな負担となっています。

こうした介護に伴って生じる腰痛の経験者は
介護職員の8割を超えるそうです。

腰にコルセットを巻いて仕事を続けている職員も多く,
将来,仕事を続けられるかどうか不安を感じています。

こうした腰痛は職員が辞める理由にもつながり
人材不足の要因の1つにもなっています。

そんな中,介護の現場で“ノーリフト”という
新たな手法が注目されています。

“ノーリフト“の意味は「抱え上げない」ということ。
つまり「抱え上げない介護」の手法です。

オーストラリアなどで本格的に導入されているこの手法。
日本でも少しずつ広がりを見せ始めています。


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ノーリフトの取り組みでは福祉用具を積極的に活用

ノーリフトの手法は次の2つが中心です。

1) 体全体で介護を行う。
2) 福祉用具を積極的に活用する。

例えばベッドに寝ている患者さんの体を動かすとき
普通,介護者は脇に立ったまま腕で患者さんの体を押します。
しかしこれだと腰に大きな負担がかかります。

それを防ぐため,介護者は足を前後に大きく開きます。
こうすることで重心が低くなり,体が安定します。

この状態のまま患者さんの体を押すことにより
必要な力が分散され,より負担の少ない介護が可能となります。

また,福祉用具を積極的に活用することも
介護者の負担を軽減するための大きなポイントです。

例えば電動ベットの背もたれを起こす機能。
これまでは食事やテレビを見る時に使うのが中心でした。

しかしベッドから起き上がるときにも
この機能を活用することで,今まで使われなかった筋肉を刺激し,
患者さんの自立を支援することができます。

また,滑りやすい布などを入れて
介助の仕方を根本的に変える方法もあります。

例えば,今まではベッドの上で患者さんの体を引き上げるには
介護者は腰をかがめて大きな力でを押す必要がありました。

しかし滑りやすい布を体の下に敷くことで
わずかな力で体を移動させることができます。

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こうした方法は誰でもすぐに覚えられますし
車いすの姿勢を直す際にも応用することができます。

体を壊して辞めざるを得ない職員が多い中,
こうしたノーリフトの手法は大きな関心を集めています。

また,在宅介護の現場でも
負担の少ないノーリフトは有効です。

例えば,クレーンのように患者さんをつり上げて
車椅子に移動させることができる機械があります。

「介護リフト」と呼ばれるこの機械は
自宅のベッドの端に設置できます。

値段は決して安いものではありませんが
一度導入すれば,介護者の負担を大きく軽減できます。

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さらにノーリフトの考え方は
床ずれ対策にも有効です。

患者さんが寝たきりになった場合,
最も大変なのは床ずれを防ぐことです。

寝返りを打てない状態が長く続くと
体の特定の部位にだけ体重がかかってしまい
床ずれの原因となります。

それを防ぐには患者さんの体の向きを
数時間おきに変えてあげる必要があります。

しかし,こうした作業を続けることは
介護する側にとっては大きな負担となります。

こうした負担を少しでも減らすには
足の裏にクッションを置くことが効果的です。

ベッドと体の間にクッションをはさむことで
体重の負荷が分散され,床ずれを防ぐことができます。


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ノーリフトは介護する側にもされる側にも大きなメリットが

このようにちょっとした工夫をするだけで
介護者の負担をかなり軽減することができます。
これが“ノーリフト”の基本的な考え方です。

これまで現場で当然のように行われてきた
人の手で”抱え上げる” 介護。

こうした常識を覆すノーリフトの手法は
介護をする側だけでなく“される側”にも
大きなメリットがあることが分かってきました。

例えば介護者が患者さんを抱えあげるとき
実は患者さんにも大きな負担がかかっています。

抱き抱えられる際に
患者さん自身も体に力を入れて身構えてしまうため
全身がこわばってしまう原因になるのです。

ある施設で暮らすお年寄りのAさんもそうでした。
抱え上げられる際に体が必要以上に緊張してしまい
ますます動かなくなるという悪循環に陥っていたのです。

しかし電動ベッドを使うなどして
スタッフが意識的に抱え上げをやめたところ
体の緊張が和らぎ, 症状は大きく改善しました。

今では僅かな手助けだけで体を支えられるようになり
まっすぐ座れるまでに回復しました。

体に残されていた体力が戻ってきて
再び元気に過ごせるようになったそうです。

今まで介護する側が一生懸命にやっていた
“抱え上げる”という作業は,介護される側にも
大きな負担となっていたのです。

このようにノーリフトの発想は
介護する側にも介護される側にも
大きなメリットがあります。

しかし“人の手で介護する”という考え方が
現場では長年にわたって大切にされてきました。

そのためノーリフトの取り組みに
戸惑いを感じている現場があることも事実です。

しかし結果としてケアの質が向上するのなら
新たな手法にチャレンジするメリットは十分にあります。

こうした動きを推進している施設や病院は
協議会を作るなどして,その普及を目指しています。

また日本ノーリフト協会は各地で実践セミナーを開くなどして
毎年数百人のコーディネーターを養成しています。

介護の需要がますます高まる中
ノーリフトの取り組みが全国に広がることで
介護のすそ野も大きく広がるのではないかと期待されています。

 

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