トランス脂肪酸がアメリカで規制の対象に 表示義務がない日本との違いは?

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トランス脂肪酸がアメリカで規制の対象に

今日はトランス脂肪酸についての話題をお届けします。

最近,何かと話題になっているトランス脂肪酸。
「体に良くない」「 肥満の原因になる」など,
そのイメージはあまり良いものではありません。

トランス脂肪酸はマーガリンなどに含まれる油の一種で
マーガリン,パン,クッキー,カレールーなど身近な食品に
多く含まれています。

先月,アメリカは健康への悪影響を考慮し
3年後までにトランス脂肪酸を含む食品を
制限すると発表しました。

こうした流れの中,私たち日本人は
トランス脂肪酸とどうつきあっていけばいいのかを
考えてみたいと思います。


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トランス脂肪酸は食品添加物ではない

トランス脂肪酸は
塩や砂糖のような食品添加物ではないため,
直接目で見ることはできません。

このトランス脂肪酸とは
いったいどんな物質なのでしょうか。

その前にトランス脂肪酸の元になっている
“油“についてちょっと勉強しておきましょう。

ふだん私たちが“油”と呼んでいるのは
正式には“脂肪酸”という物質です。

この脂肪酸には2つの種類があります。

1) 飽和脂肪酸 … 常温で固体の油(動物性の油)
2) 不飽和脂肪酸 … 常温で液体の油(植物性,魚の油)

体にいいのは不飽和脂肪酸ですが
不安定で酸化しやすいという特徴があります。

この不飽和脂肪酸に水素を加えることで
安定した固体の油が生成されます。

その時に同時に生成されるのが
このトランス脂肪酸なのです。

この固形の油を原料として
マーガリンやショートニングが作られます。

トランス脂肪酸は化学的に安定しており
経済的で保存性にも優れています。

お菓子などに使うと食感も良くなることから
多くの食品に幅広く使われています。

このようにトランス脂肪酸は
油を加工する過程で生まれる成分ですが
バターや牛肉など天然の食品にも
小量ながら含まれています。


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トランス脂肪酸の表示を義務化したアメリカ

今回, アメリカでは固形の油脂を制限することで
トランス脂肪酸の摂取量を減らそうとしています。

アメリカでは10年ほど前から
トランス脂肪酸の摂りすぎが問題視され
対応策が打ち出されてきました。

こうした流れの中,2006年には商品に含まれる
トランス脂肪酸の表示が義務化されました。

以来,企業はトランス脂肪酸の削減に努力し
現在ではトランス脂肪酸の表示がゼロという商品も
数多く開発されています。

こうした流れの中,消費者たちの関心も高まり
トランス脂肪酸の含有量が少ない食品を
購入する流れが定着しつつあります。

消費者の関心の高まりとともに
企業側もその削減に向けて努力しています。

こうした企業努力にもかかわらず
今回, 厳しい措置が取られた背景には
病気との因果関係があります。

特に死因の1位である心臓病の原因として
トランス脂肪酸の摂りすぎが関係していることが
さまざまな研究からわかってきたからです。

トランス脂肪酸を摂りすぎると
悪玉コレステロールが増加し,動脈硬化のリスクが
高まることが最近の研究で明らかになりました。

このようにアメリカでは
トランス脂肪酸への関心が日に日に高まっており
人々の意識も変わってきています。


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トランス脂肪酸の表示義務がない日本

一方,日本の状況は大きく異なります。
成分表の中に脂質の量は表示されているものの
トランス脂肪酸については何も書かれていません。

これはなぜかと言いますと日本では
トランス脂肪酸の表示義務がないからです。

現状では健康への大きな影響はないとされ
表示についてはメーカーの任意となっています。

そのため食品の中にトランス脂肪酸が
含まれているかどうかを確認することは
今の日本では難しいのが現状です。

しかし今回のアメリカの厳しい対応に伴い
不安を抱える消費者も増えてきています。

こうした中,注目を集めているのは
4年前に創業したある菓子メーカーです。

このメーカーはこれまでにも
トランス脂肪酸を含まない商品を製造してきましたが
先月以降,売上が急増したそうです。

特にアメリカでトランス脂肪酸が禁止になるという
報道があってから,売上が急激に伸びたとのこと。

この会社では1年前から
マーガリンやショートニングを使わない
クッキーの開発も進めています。

バターを使うためコストはおよそ3割上がりますが
それでも需要があるとメーカーは考えています。

このように最近は日本でも
トランス脂肪酸を使用しない商品を求める声が
数多く寄せられるようになってきました。

しかし現実には具体的な対応は
何もなされていないのが現状です。

トランス脂肪酸の少ない食品を賢く選ぼう

アメリカと日本の対応が
ここまで異なるのはなぜなのでしょうか。

その一番の理由として
日本人のトランス脂肪酸の摂取量が
少ないことが挙げられます。

WHOが勧告するトランス脂肪酸の摂取量は
1日に摂取するエネルギー量の1%未満となっています。

平均的な日本人にとって
この量はだいたい1日2gとなります。

実際の日本人の摂取量は0.4%前後なので
この基準をしっかりと満たしているわけです。

また,メーカー側でも食品中に含まれる
トランス脂肪酸の削減努力をしています。

例えばマーガリンに含まれるトランス脂肪酸の量は
10年前には約6gだったものが,最近は4g未満に減っています。

こうしたことから日本国内では
健康に対する影響は小さいと判断されており
規制や表示の義務もないというのが現状です。

また,トランス脂肪酸の量は減っているものの
商品によって含有量にバラつきがあります。

同じ食品でも製品ごとの最大値と最小値を比べると
含有量に10倍以上の開きがあります。

ほとんどの商品は問題ないレベルまで削減されていますが
ごく一部の商品にはまだ多く含まれているものもあります。

こうした商品を毎日,食べ続けると
基準量を上回ってしまう場合もあります。

しかし,表示の義務がない現状では
詳しい情報が消費者に情報が伝わらないため
商品の選択に支障をきたす場合もあり得ます。

こうした流れを受けて最近は
企業が自主的にウェブサイトなどで情報を公開し
安全性を強調している所も増えてきました。

普段から脂肪をたくさん摂っている人は
結果としてトランス脂肪酸の摂取も多くなるため
脂肪全体の摂取量を減らすことが大切です。

さきほども書きましたが
現在の日本ではトランス脂肪酸の表示は
メーカーの任意となっています。

こうした状況の中,私たち消費者にできることは
自らの力でしっかりと情報を集めることです。

トランス脂肪酸の含有量が少ない食品を賢く選び
健康的な食生活を送りたいものですね。

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